『甘酒』『味噌』『醤油』『日本酒』『焼酎』『味醂』など私たち日本人には欠かせない和食を造りだしているのは日本の国菌である『麹』を利用した発酵技術です。
この日本独自の麹造りは、長い年月をかけて安全性や生産性などさまざまな点で向上してきました。現在では機械化も進んでいますが、逆に職人さんの手によって昔ながらの方法で造られている所も多くあります。
私共は、この日本が世界に誇る発酵食の要である『麹造り』を各ご家庭でも簡単にどなたでも一年を通じて本格的な麹を造れるようお伝えします。
是非ご家庭で麹造りから発酵食造りまで取り組んでいただき発酵食の奥深さを感じて頂きたいと思っております。
ここでは基本となる米麹の作り方をご紹介いたします

(1)準備するもの

通常麹造りは麹室(こうじむろ)と云って温度や湿度の管理ができるような個室で行いますが、ご家庭では無理ですので温度・湿度管理が比較的簡単な簡易の麹室【麹発酵箱】を使用した麹製造法をお伝えいたします。
段ボールやプラスチック製のケースなどを利用することも可能ですが、温度管理の難しさや結露の問題、耐久性を考えると木製の麹発酵箱を使われることをお薦めいたします。
この麹発酵箱は私どもの発酵教室と麹士取得講座で使用しているものです。
麹発酵箱その他の器材
○外部センサー付温度計   ○棒状温度計   ○湿度計   ○電気アンカ、湯たんぽ
○すし桶(直径40cm程) ○蒸布3枚程   ○蒸し器   ○茶こし

(2)材料

○種麹  種麹には酒造用・味噌用・醤油用など用途別に様々な種類がありますが、一般的には味噌用又は甘酒用種麹を使いま  す。メーカーは全国に数社しかありませんが京都の菱六さん、秋田今野商店さん、樋口松之助商店さんなどから取り寄せます。
はじめての方には菱六さんの【改良長白菌】という種麹が扱いやすいと思います。ネット通販でも購入できます。

○白米  最初は少量から挑戦してみてください。5カップ(750g)を用意します。

(3)麹造りの工程

麹の作り方1①洗米・浸漬
米を洗い一晩水に浸けます。
②水切り
一晩浸漬していた米をザルに移し充分に水を切ります。この水切りが重要ですので1時間以上は水切りしてください。
③蒸米(じょうまい)
蒸し器でお米を蒸しますが、蒸し器の種類によって蒸時間は前後しますが目安は1時間です。お米の芯がなくなったのを食べて 確認してください。火の強さは沸騰しているお湯の泡が若干上がるくらいです。

麹の作り方2⑤冷却
蒸し上がったらすし桶に移しお米の温度を下げます。扇風機を使ってお米をほぐし水分を飛ばしながら一気に40度以下まで下げ ます。
⑥床もみ(種付け)
お米の温度が40度以下になったのを温度計で確認できたら、種麹を茶こしなどでふるってお米の表面に付けていきます。
種麹の分量 通常は原料の米1kgに対して種麹1gが基本ですが、最初は2~3倍の種麹を使うことをお薦めします。
今回はお米750gに対して3gの種麹を使います。
蒸されたお米の塊をほぐしながら、一粒一粒がばらばらになるよう手のひらで種麹をまぶしていきます。
4,5回に分けて種麹をふるってお米全体に種麹を付けていきます。
終了時にお米の品温は25度以上を保つように手早く行います。

麹の作り方3⑥引き込み/堆積
種付けが終了したら木箱に移します。この時蒸布を敷きますが水を湿らせて絞った蒸布を必ず使ってください。
蒸布でお米を包み込みます。
保温箱に入れますが、室温が低い場合は庫内に電気アンカや湯たんぽを入れ庫内を30℃前後に保温します。
冬場は箱を毛布などをかぶせてあげないと庫内温度が保てません。
必ず温度センサーを使って常時庫内の品温が確認できるようにしてください。品温は麹菌の繁殖最適環境の30℃~35℃をキープしてください。
冬場は同時に乾燥しやすいので、お湯を庫内ではって湿気も保つようにします。これから約48時間で麹ができあがります。

麹の作り方4⑦手入れ
24時間後にお米をほぐして広げなおしてあげます。
この頃には麹特有の香りがしてきて、お米の表面にも若干胞子が付き始めています。
蒸布は乾燥してきていますので手入れを済ませたら水で湿らせて絞った蒸布を掛け、保温箱に戻します。
これからさらに24時間保温していきますが、品温は30℃~35℃をキープします。
室温が暖かい場合は品温が40℃近くに上がることもありますのでその時はアンカを切るか、箱の蓋をずらして品温が42℃以上にならないよう温度管理してください。
麹の作り方5
⑧出麹(しゅっこう)
麹を取り出すことを出麹といいます。引き込みから48時間が目安ですが品温が低かった場合などは麹菌の繁殖がおそくなるので麹の表面の胞子の様子を観察して保温時間をさらに6時間~半日伸ばします。

⑨麹の出来具合の見分け方
良い麹  ・麹の色は白色です。
・米粒の表面に均一に麹菌の胞子が付いています。
・手で触るとベタつきがなくすぐほぐれます。
・麹特有の良い香りがします。
・麹を少し噛んでみると栗のような食感で甘味があります。

不良の麹 ・麹が柔らかくべたつく。
・異臭がする。
・アルコール臭がする。
・米粒の表面の胞子が均一でなく部分的にしかない。
・オレンジ色に変色している。
などですがこのような時には麹は使えませんので廃棄してください。
⑩保存
出来るだけ早く使い切ることが望ましいですが、保存する場合は粗熱をとり冷凍保存用のビニールに入れ冷凍保存します。
1年くらいは保存が可能です。

米麹の作り方をご説明してきましたが、道具が揃っていればパンを焼くよりは簡単だと思います。是非ご自宅で麹造りチャレンジしてみて下さい。